コインチェックは詐欺?犯罪?架空取引で打ち出の小槌?
コインチェック社「持ってないコインを消費者に売る」商法と顛末
という、やまもといちろう氏の記事がネットで爆発しています。
コインチェック社「持ってないコインを消費者に売る」商法と顛末
やたら長いので重要部分を抜き出しますと、
コインチェック社は、仕入れていないNEM/XEMを、ユーザーに対して販売していた疑いが極めて強くなります。
「本来無いものを売り、売上から高率のスプレッドを顧客にチャージしていた」ことになりますが、実際に仕入れていないのですから収益性が高いのは当たり前です。仕入れ費用も必要ありませんし、Poloniexなど海外取引所との厳密な売買データをやり取りするコストもかからず、注文があればただ自社の表示する売買板に見合った売買高に8%から10%の手数料(スプレッド)を支払わせるだけで済みます。
ということです!
つまり、本来であればコインチェック社が先にコインを買っておき、それをユーザーに販売すると言っていたのに、
実は仕入れをしないで手数料だけ取っていた、ということになります。
通常の商売ならば、商品が手元に届かないから直ぐに発覚します。しかし仮想コインは預けっぱなしだから、分からなかったと。
殆どの人は、コインを円に替えて引き出します。誰も現物のコインを出せとは言いません。替える所を見せろとも言わない。だからぶっちゃけ、コインが無くても構わない(仮想通貨を現物のコインと呼ぶのも複雑ですが)。
「はい、コインと円を交換しましたよ!」と見せかけながら、手数料で稼いだ円をそのまま口座に送ればいい。
もしも現金ではなく、顧客に仮想コインを要求されたら(=手元のハードウォレットに暗号鍵を入れる)、その時だけは、顧客が所有権を持つコインの存在が必要となる。
しかしそれも、顧客が持ってる分だけ、コインチェック社が持ってるコインを充てればいいだけ。足りなければ、ちょっと待たせて、こそっと買えばいいだけの話。
さすがに全員が引き出そうとしたら、破綻、発覚の恐れもあるけど、実際にみんなが一気に引き出すあなんてことは起きにくいから。
やっぱり誰もわからないまま、架空の取引を続けて手数料だけがひたすら吸い取られていく日々が繰り返されると。
そりゃあ詐欺だろうが!
と、言わざるを得ません。
現実問題、取引板であれば取引の履歴を追えますが、販売所という形態の場合、確かにこの可能性はあります。
まさに、打ち出の小槌です。
こんなにボロい商売はない。
国内外の取引所の多くは板取引の形態ですが(コインチェック社もビットコインについては板があった)、販売所の形態を取ってる場合、これで全てが信用問題に直面します。顧客に販売したコインが、顧客にちゃんと渡っているか?これを完全に証明しないと、続かないでしょう。
コインチェックは(傍目には)必ずしも悪い会社ではなかったのだが
コインチェック社の場合、どっちにしてもスプレッドが売買の往復で6-7%かかるという設定があるため、現実的に頻繁なトレードは無理筋でした。
買ったら、余程のことが無ければガチホするしかありません。売買を繰り返したら、手数料で死にます。そしてガチホするなら、取引所に置いとく義理も必要もありません。ハードウォレットに収めた方が安全確実。恐らくそれが正解でした。
ただ、コインチェック社の良かった所は、やはり取り扱い通貨の多さです。
例えば、海外の取引所を使う場合、国内で円を何かのコインに変えて、海外口座に送金する必要があります。
戻す時はその逆です。海外からコインを国内の口座に送金して、国内で円に変える必要があります。
コインチェック社は、そこで手数料の安いアルトコインが選べて良かったのです。ビットコインとか超高いので。
そして一度だけ換金する分には、もともとスプレッドにその分のプレミアがついているので、実質ほとんど損はなかったのです(何回も売買すると目減りするけど)。
このように、例えば海外送金などの流動分については、当然コインチェック社に相応の通貨が無くてはなりません。
架空取引をしていたとは言っても、自社で差配できるコインは、一定の保有をしていたハズです。
そこの流れを追うと、恐らくそれらのコインの所在が顧客ではなく、コインチェック社のドンブリウォレットに入っていたっていう事になるんでしょうが、まさか、そんな事になっているとは、流石に誰も思ってないわけであります。
もはや個人が持ってる通貨や取引データを、直接ブロックチェーンで見るしかない
ただ、ここで必要な考え方として、自分の持ってる資産がどう動いているかは、もはや自分で確認しないとダメなんじゃないか?というものがあります。
そもそも、お金の流れを改竄、隠蔽、不正できなくするのが、ブロックチェーンの意味だったはず。
そして、それは実際、誰でも確認することができます。いつ、どこから何処へ、幾らの通貨が送金されたのか?追跡することが可能です。
つまり、ブロックチェーンの可視化確認。
今だと情報を取りに行くのが手間で、得られるものもテキストです。ですからNEMのJK17さんや、やまもと氏など、リテラシーの高い人しか覗けません。
なので、アプリでかわいく簡単に見られるようにする。
特に送金については、経過を示すインジゲーターもありません。送金プロセスが、今どこまで行っているのかが分かりにくい。
これはヤマトや佐川の宅配便の追跡と同じです。トラックに乗せられ、何処そこの集積所に着いて、仕分けされて出荷され、いまコッチのエリアに他の荷物と纏めて向かっているよ。など、荷物の追跡が、伝票番号を入れると出てきます。
同じように、仮想通貨の場合も、言わば順番に認証されつつ送金がされます。
厳密には物理的に場所が移るわけじゃなくて、トコロテン式に荷物の入った箱を押し出すようなもので、詰まってしまうと送金されないってことなんですが。
それでビットコインの場合は送金にやたら時間が掛かって、手数料も上がっていくっていう不毛な感じになっています。
それに比べて、例えばビットコインをベースにしているアルトコインは、手数料が安くて着金も早い、コインチェックならそのまま送れた、というメリットがあります。早さだけならリップルがさらに圧倒的です。
今後、通貨の機能にスマートコントラクト(契約条件を元に決済まで自動化できる)が広がると、単にお金を送っただけの情報ではなく、契約がいつ実行されたかなどの可視化や通知も要望されるでしょう。
そこらのダッシュボードが、今って、各所でどう検討されているのかな?っていうのが、気になるところです。
最終的に、クラウド上の家計簿やネット銀行、ポイントカードに至るまで、無数のブロックチェーンを一括管理する画面や機能(ダッシュボード)が必須になると思うので。
という意味でも、やはり仮想通貨は通貨としての面だけでなく、ブロックチェーン=改竄不可能な分散型台帳であり、能動的に契約の実行なども果たせるインフラツールとして見た方がいいにゃすね。
って所で、今日はここまで。
※紹介したやまもと氏の記事は、現時点では個人の推測に過ぎないので、最終判断は捜査の結果公表を待ちたいと思います。
また、恐らくキーになるのはフロントの若い社長ではなく、実質的な舵取りの一端を担う、アドバイザーにして監査役のベンチャーキャピタル(金主)で、その素性や関わり方が明かされる必要もあるでしょう。